IIJmio meeting #3に参加してきました。
先月の話ですが…。
IIJmioとは→■
私もIIJmioユーザーなので非常に興味があり毎回参加しております。
IIJmioミーティングではMVNOとしてのIIJの考え方や技術的な話を
「ユーザーが聞けて意見が言える」貴重な場です。
ユーザーに対してこれだけ開示しているMVNOは珍しいのではないかと思います。
IIJmioミーティング→てくろぐ
今回の話題は
1.音声通話サービスに関して
2.IIJmioの品質へのこだわり
3.スピードテストについて考える
です。
1.音声通話サービスに関して
みおふぉんのサービス開始により、
090/080/070番による音声通話も可能となったため、
そのサービスについてのお話でした。
電話の決まり事
普段何気なく使っている電話ですが実は様々な決まり事がありました。
法律で電話番号によりサービス品質などが定められています。
090/080/070番での携帯電話の音声通話というのは実は信頼性が高い部類の通信。
それに対して一部を除く050番のIP電話等になると、
一気に信頼性が落ちます。
この信頼性と位置情報が使えるかどうかの差で緊急通報が使えるか使えないかが決まるようです。
このためデータ通信回線1本とIP電話だけにしてしまうと困るので、
どうしても音声契約を残したくなるんです。
楽天でんわ
通常の音声回線を使ったサービスであり、
携帯電話でそのままかけた電話と品質等に一切差はない。
携帯キャリアではなく楽天を中継する事で電話に接続する為料金が安くなる仕組み。
発信番号は自分の携帯電話の番号。
050plusなどIP電話
050plus等のサービス提供者まではパケット通信で通信が行われる。
インターネットと同じ仕組みで音声をやりとりする。
その為信頼性や品質が低下してしまう。
発信番号はIP電話の番号(050番)となる。
LINE電話
今回の話ではウエイトがあったように思う。
LINE電話は050番などと同じでサービス提供者まではパケット通信で通信が行われる。
その為信頼性や品質の低下がある。
IP電話と異なり、発信者番号は自分の携帯電話の番号を通知する。
但し、発信者として通知する番号は「SMS認証を行った番号」となる。
今回問題になったのは、音声回線が付いていなくても、
SMS認証のためのSMSが受信できる、「SMS付データ通信SIM」。
これが電話が着信できないのに番号を通知して相手に表示されてしまう
問題が発生してしまいます。
これはいけないですね。
認証さえSMSや電話で通ってしまえば
発信元を偽装できてしまいます。
実際はdocomoMVNOでLINE電話を使うと、国際電話扱いになった時点で、
docomoは発信番号通知を許可していないので、
強制的に非通知での発信となります。
なので実質問題は無いようにも思いますが、
今後SoftBankやauのMVNOが出てきて、
同様にSMS付データの格安SIMが出てくると問題になるでしょう。
LINE電話は安くてプリペイドで使いすぎないで済むサービスなのですが、
品質がIP電話と同等かそれ以下であり、
コールバックの問題を抱えていますので、
注意して運用する必要がありそうです。
音声オプションの付帯料
みおふぉんの1900円の基本料金の内訳は、
1000円が音声通話オプションの料金
900円がエントリープランのパケット定額通信料
ですので、決して高くはありません。
また音声通話の金額に関してはドコモが卸している価格であり、
音声通話についてはMVNO側が何か制御をする事もできないので、
データ通信の様に特色を出すのが困難なようです。
音声通話はMVNO側でサービスプランが練られないそうなので、
家族間通話無料などの実現は難しいようです。
そういったサービスはインフラを持っているMNOの特権なのでしょうけど、
MVNOも何かしら音声割引サービスが出来ると更に面白くなりそうです
VoLTEの場合は方式が変わるので、
法令と技術で解決できるのか、MNO側の問題もあるが、
IIJ側で何か設備が持ててやれるようならやりたいと
意欲的な姿勢も伺えました。
2.IIJmioの品質へのこだわり
使っていて思うのは、IIJの品質は高いと思います。
その品質へのこだわりはエンジニアマインドにありました。
利用者が快適にデータ通信を利用できるには
MVNOは借りている回線の太さ(一度に通せるデータ量)によって、
速度や通信量を制限されてしまう。
借りている回線が太ければ太いほど快適だが、コストが上がってしまうため、
格安SIMの提供が難しくなってしまう。
その為多くのMVNOがキャリアとの接続で苦しんでいる。
回線の使用可能量を超えてしまった場合にはパケットが破棄される。
多くの人が接続する時間帯はその分回線の使用率が上がるため、
100%を超えた時点でパケットが破棄されてしまう事態が起きる。
実際は詰まっているのではなくて捨てられている。
IIJmioの快適な通信を考えるポリシーと仕組み
クーポン利用時
高速通信は従量制であり、クーポンは有限で必要なら買い増す仕組み。
例として出ていた、食べ放題のレストランと都度注文のレストランの話は良かったです。
食べ放題のレストランは本当に度を超えて食べられてしまうと、
赤字で倒産してしまうので、途中退場(LTEでいう7GB制限)を付けている。
対して都度注文のレストランは注文して貰うほど儲かるので、
どれだけ食べて貰っても構わない。
クーポンは都度注文のレストランと同様で、
幾ら使って貰ってもその分の対価は得られる仕組みということです。
その代わりクーポンがONなら何の制限もなく通信を提供してくれます。
バンドルクーポンはありますが、クーポン自体は従量制という考えです。
クーポン非利用時
IIJの200kbpsの通信は使いすぎた者へのペナルティではありません。
携帯大手キャリアは各社使用制限を超えた場合に通信速度を低速に落とす方式をとっています。
これは一種のペナルティという認識になるのが一般的かと思います。
そもそものMVNOのサービスとして「制限はあるが安い」というのが利点です。
IIJmioでは200kbpsの制限はユーザーの選ぶ権利の一つとして認識していて、
200kbpsもペナルティではなくサービスであるということです。
また、200kbpsの通信にも快適性を追求しています。
以前のIIJmioミーティングでも話がありましたが、
200kbpsの通信時は3秒間は200bpsの制限は無く、速度制限の無い通信がされているとのことでした。
実際にスピードテストをすると最初の瞬間にかなりの速度が出ます。
ずっと3秒という時間で考えていましたが、どうやらそうではなく。
厳密には200kbpsでの通信で3秒間転送を行った場合に
通信するデータ量の75KBまでを固定して速度制限なしで転送しているそうです。
これを「バースト転送」と呼んでいるそうです。
実際に使ってみると、この75KB分のバースト転送はかなり体感的に良いです。
改めて仕組みを聞くとIIJmioの品質が良いと感じる大きな部分だと思います。
こういった工夫にエンジニアとしての意気込みを感じますね。
当日に限りこのバースト転送を絞った(少なくした)通信の体験が出来たのですが、
残念な事に私は自分のログインIDを忘れてしまっていて、
体験サービスを利用することが出来ませんでした。
75KB分の転送が減らされるとどれだけストレスなのか、
試してみたかったです。
今度は設定済みデモ用の展示とかして貰えると助かります。
こういった制御は統計に基づいており、
バースト転送を行おうと、行わなかろうと統計を取るとコスト的には大差が無いそうです。
更には、低速通信によってコストが下がることも無いそうです。
統計多重の原理というそうですが、理論上はコストを下げるのに有効ではなく、
低速通信に制限することで、動画や大容量ファイルの送受信など
ネットワークを占有されてしまう事を防ぐ目的での制限です。
要は、諦めさせる事に意味があるようです。
必要な通信であれば確かに”完了するまで待つ”ので、
低速だろうと高速だろうとトータルで転送するデータ量は変わらない。
そうなるなぁと納得しました。
低速通信によってライトな使い方に絞られていきコストを下げる狙いがあるわけですね。
今後は、
利用の集中する平日12~13時の昼時の通信品質改善を目指す
品質のこだわりにより差別化を図っていくそうです。
格安SIMと呼ばれていますが、品質の考え方は価格相応を超えています。
価格の範囲内での事なので出来る事出来ないことはありますが、
今後の品質向上にはユーザーは注目したいところです。
それにしてもここまで公開しちゃって良いのか?!
3.みんな大好きスピードテストについて考える
私も大好きなスピードテストなんですが、
これに関して疑問を投げかける内容でした。
実はスピードテストは回線だけではなくて色々なものを測っています
一番身近なのは、手の中にある端末の性能ですね。
性能が低ければ回線が速くても遅く表示されます。
回線だけではなく、全ての要素を総合した結果がスピードテストの結果です。
また、アプリごとに速度を数値にするための計算の仕方が異なります。
よって異なるアプリ間での比較は意味がありません。
またその計算方法が正しく速度を表せているのかも不明です。
スピードテスト実演
面白かったのは会場で0.1秒単位でグラフ化したスピードテストを実演で行ったことですね。
会場も「おお!」ってなってました。
スピードテストは各アプリで特徴が出ます。
私は良くOokla使ってますけど、
こういった特性までは気にしたことありませんでしたが。
中の通信もかなり違うようです。
実際の通信例としてやっていたのはTwitterの更新。
一瞬だけバースト(高い山の部分)してその後は殆ど通信されていない。
この程度だとバーストで全て終わっていることが分かります。
なのでこのテスト結果からすると、
Twitterの更新にはクーポンのON OFFは関係ないため、
クーポンONだと無駄に使っていることにもなりますね。
他にも
LINEの無料通話はダラダラと通信が続くのでバーストの恩恵は受けられませんが、
実際のデータ量自体は200kbps以下の速度で十分なので問題なし。
radikoは5秒ごとに音声をバッファする仕組みになっているため、
毎回常にバーストしており、
更にバーストしている間に取得が終わっているため気になることがない。
スピードテスト実験の結果を見ると一回の通信で何度もバーストしているのがわかります。
これはデータ通信が休むとIIJ側のカウンターがリセットされることがあり、
その場合次のデータ通信が初回と見なされ再バーストするそうです。
Yahooトップを開くときにバーストして文字のみ取得するが、
広告系の画像を読み取る前に一旦通信が休憩となり
その後再度広告をダウンロードされるときにバーストするという具合です。
条件が揃えば一ページのダウンロードでも何度もバーストする事があるそうです。
画像を大量に読むサービスを使うと再バーストしないので体感が良くないようです。
IIJ側としてはこれは意図していない動作も含まれるとのことなので、
ひょっとしたら今後修正が入るかもしれませんが、
ユーザーにとっては良い仕様で、
実質的には200kbpsにがんじがらめに制限されているわけではないということです。
実際の結果などを見て分かるのが、
このバースト型の通信は測定しにくいということです。
計算方法、データの転送のタイミングの要因が
このバーストの特徴を正しく評価出来るのかどうかが問題です。
体感は良いけど数値は遅い
こういう事が起きてくるのでスピードテストを過信しすぎても良くないというお話でした。
しかし、総務省が現在の携帯電話の通信速度は理論値で消費者がわかりにくいので、
実測値を出すようにするという方針を考えているようですが、
スピードテストの結果を出すのはこういう話を聞くと更に難しい気がします。
IIJは総務省に物申したくての今回の内容では無いそうですが、
今後の携帯業界の動きとして、実測値は課題でその計測方法が問われるでしょうね。
総務省が実際に実測値の方針を進めれば、
測定方法も一定の計り方が決まるはずなので、
そうすればもう少し統一感のある測定方法が出来るかもしれませんね。
質疑応答も活発な意見の交換
毎回必ず質疑応答の時間が用意されており気軽に質問できます。
やっぱり答えられない話もあるのでその当たりは察してくださいです。
今回も活発な意見交換が行われました。
LINEがID検索の制限を掛けてからは毎回IIJmioミーティングで上がるのですが、
今回もLINEの対応は何とかならないか?という質問がありました。
掛け合ってはいるようですが、良い方法が見いだせていないようです。
この際だからMVNO毎に認証サーバーを持たせて(コスト掛かりますけど…)
docomoSIMの場合LINEアプリはAPN情報を見て、
ドコモのSPモード以外に繋がっている場合は、
自分が契約しているMVNOの認証サーバーを選択出来るような仕組みにしてくれると
良いのかなと思いますが。
MVNOの布教活動でも困るのが、
コンテンツ登録でのキャリアメールやキャリア認証必須とLINEのID検索です。
なんとかならないものでしょうか。
IIJmioミーティングの色々
展示物とノベルティ等
みおふぉんが入ったiPhone5cとNexus5、Nexus7が展示されていました。
ノベルティは色々。
無線LANルーターも展示されています。
この無線LANルーターは今年のGWの同人誌即売会で使用するもの
(記事執筆時点では既に使用したもの)です。
エリアカバーなどの工夫に苦労されているとの事と、
参加者のポケットWifi等の持込による干渉を心配されているようでした。
参加者配付は水とIIJmioオリジナルロゴ入りどら焼き。
このどら焼き美味しいですよ。
お菓子と飲み物も用意されており、楽な雰囲気で参加できます。
さらに!
ミーティングの最後に希望者にみおふぉんパッケージをプレゼントしてくださいました。
私も1つ頂きました。ありがとうございます。
次回開催は夏頃予定とのこと。
これほどサービスを深く知れる、
また提供元と交流し意見交換出来るミーティングはなかなか無いので、
今後も続けていかれるといいですね。
私も続く限り参加します。
今回掲載したスライドの写真は、
実際のスライドが「てくろぐ」に上がっています。
そちらを参照されると更に詳しい内容を知ることが出来るので、
興味のある方はそちらに行ってみてください。
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